就職活動の早期化が著しい。就職情報会社「リクルートキャリア」の調査によると、20年卒の内定率は7月1日時点で過去最高となる85.1%を記録。
就職活動は、2016年以降「3月説明会、6月選考解禁」の日程で実施されている。
2019年は、企業の多くが選考解禁日である6月1日に、学生さんに「内々定」を通知。
実質的な選考は解禁日よりも前に行われている。就活市場に大きな変化がみられないため、2021年卒の学生さんの就職活動についても「日程よりも早く進む」と予想されます。
つまり、結果を出すためには学生さんも企業も、短い期間で効率よく就職活動(採用活動)を進めなければなりません。
企業にとって効率化のカギになるのが「筆記試験」です。
面接は、学生さんの志望動機・自己PRを聞いてから合否を判断するため、決定まで10日~2週間程度の時間を要します。
これに対し、筆記試験は点数にボーダーラインを設け合否を決定。実施後、社内での討議の必要がないため、迅速な合否連絡が可能です。
学生さんの適性を効率よく見極めるために、近年では多くの企業が選考で筆記試験を実施しています。
しかし、同じ「効率化」でも学生さんの考えは、企業とは違うでしょう。
採用担当者は自社の選考のみを考えますが、学生さんが内定を得るためには期間内に複数の企業の選考を受ける必要があります。
1社あたりの対策にかけられる期間が短くなってしまうため、「難易度が知りたい」と考え、情報を探すと思います。
本記事では選考で出題される「筆記試験の難易度」「勉強法」をまとめていきます。
筆記試験の種類と難易度
現在、就職活動の選考では、主に8種類の試験が実施されています。
以下、試験ごとに内容と難易度をまとめますので、ご一読ください。
1.SPI
就職情報会社の「リクルート」が作成しているテストです。
試験内容は「言語能力(高卒程度の国語)」「非言語能力(高卒程度の数学)」「適性検査(性格適性検査)」の3科目。
SPIには以下の受験形式があります。
- ペーパーテスト→企業が定めた会場で受験する
- WEBテスト→自宅など、好きな場所での受験が可能
- テストセンター→全国主要7都市にある試験会場で受験する
テストには、科目ごとに時間制限が設けられており、学生さんはその中で問題を解かなければなりません。
(制限時間は、各科目30分~40分)
大手メーカーや商社、IT企業などさまざまな業界の選考で実施されています。
2.ENG
ENGは、SPI同様リクルート社が作成しているテストです。
SPIは、国語や数学の知識量をはかる試験ですが、ENGは学生さんの英語力をみるための試験です。
高卒(英検2級)程度の文章問題が中心。リスニングはありません。
総合商社や航空会社、外資系企業などで実施されています。
3.玉手箱
玉手箱は、日本エス・エイチ・エル株式会社(以下、SHL社)が作成しているテストです。
試験内容は、「能力テスト(高卒程度の国語/数学/英語)」と「性格テスト」の2分野(4科目)。
受験形式は、C-GABと呼ばれるテストセンター受験と、自宅で受験できるWEBテストの2つに大別されます。
前述のSPIに比べると、制限時間が非常に短く(各科目10分~20分程度)、高得点を取るためには問題を早く正確に解かなければなりません。
メガバンクや保険会社など、金融系企業の選考で実施されています。
4.GAB
上述の玉手箱の解説にあるテストセンターで受験するタイプの試験が「GAB」になります。
試験内容は、「暗算」「法則性」「命令表」「暗号」「言語」の5科目。
高卒程度の国語や数学、図形の読み取り問題が出題されます。
電卓などの持ち込みが「不可」とされており、筆算が必須です。
受験形式は、紙ベースの試験を受ける「ペーパーテスト」と、会場のパソコンで試験を受ける「WEBテスト」の2種類。
GABは、金融系企業にくわえ、不動産会社の選考で実施されています。
5.CAB
CABは、SHL社が作成しているITエンジニア志望者向けのテストです。
試験内容は、「暗算」「法則性」「命令表」「暗号」の4科目。
高卒程度の数学や図形の読み取り問題が出題されます。
受験形式は、紙ベースの試験を受ける「ペーパーテスト」と、会場のパソコンで試験を受ける「WEBテスト」の2種類。
制限時間はペーパーテストが全科目合計90分。WEBテストの場合は全科目合計80分。
6.IMAGES
IMAGESは、SHL社が作成しているGABの簡易版テストです。
試験内容は、「能力テスト(高卒程度の国語/数学/英語)」と「性格テスト」の2分野(4科目)。
簡易版のため、制限時間はGABよりも短い(各科目10分~15分程度)。
7.TG-WEB
株式会社ヒューマネージが作成しているテストです。
受験形式は、「ペーパーテスト」、「WEBテスト」、「テストセンター」の3種類。
試験内容は、「言語」と「非言語」「英語」「性格診断」の4科目。
言語と計数には「従来型」と「新型」があり、それぞれ出題内容が異なります。
【従来型】
- 言語→空欄補充、並べ替え、長文読解(専門的、抽象的なもの)
- 計数→暗号、展開図
【新型】
- 言語→同義語、対義語、ことわざ
- 計数→方程式、図表
問題の難易度はいずれの科目も高卒程度ですが、他のテストとは問題の言い回しが異なるため「難易度が高い」と言われています。
8.オリジナルテスト
近年では欲しい人材をピンポイントで採用するために、選考で独自のテストを実施する企業が増えています。
「独自」とは言え上述のテストがベースになっていますので対策は可能ですが、難易度は一律ではありません。
高得点をとるためにはさまざまテストに慣れておく必要があります。
合格基準・合否の判断方法
選考で実施される筆記試験は、大きく「教養(高卒程度の国語/数学/英語)」と「性格診断」に分類可能です。
冒頭に書いたように筆記試験の合否は「点数」で判断されますが、教養と性格診断では評価の方法が異なります。
1.教養試験の合格ライン
昨今は、企業の多くが「就活ルール」よりも前に採用活動を実施するほど、全業界で人手不足が顕著です。
しかし、採用数を確保するために合格ラインを下げてしまっては「足切り」に時間がかかり、効率的ではありません。
限られた期間内で効率よく採用活動を進めるために、志望学生が多い企業ほど合格ラインが高い傾向にあります。
企業が筆記試験の結果をもとに足切りを行っている現状を考えると、教養試験で「9割程度」正解できれば合格になるでしょう。
2.性格診断の評価方法
性格診断は、各テストを作成している会社が統計データなどをもとに採点。
性格分析に関するコメントを添えて、企業に結果を送付。
企業の採用担当者は、それをもとに学生さんの性格や業務適性を推察します。
その際、採用担当者がもっとも重視するのが「回答の一貫性」です。
テストにより、若干の差はありますが、性格診断では出題される300~500問を40分程度で解かなければなりません。
性格診断は、1問ウソをついてしまうと、その後の質問もそれに添って回答しない限りウソがバレる可能性が非常に高い設計になっています。
つまり、「こう答えた方がプラスに評価されるかもしれない」と考え回答すると『この学生はウソをつく』と評価されてしまうでしょう。
ウソをつく人を取引先と営業に向かわせると、自社の信用を落としてしまうでしょう。
たとえ筆記試験の点数が合格ラインに届いていても、採点結果にそのようなコメントがついていれば、採用担当者はその学生さんを敬遠せざるを得ません。
繰り返しになりますが、採用担当者は「回答の一貫性」を重視します。
(1)WEBテスト代行サービスについて
これは、各テストの傾向を熟知した業者がWEBテストを変わりに受けてくれるサービスです。
率直に言うと、長年WEBテストに携わっている業者に依頼したほうが、高得点を取りやすいでしょう。
その方が就職活動を効率的に進められるのは事実です。
しかし、あくまでも”代行業者”ですので、企業の採用担当者がもっとも重視する「回答の一貫性」は示せないでしょう。
筆記試験の解答傾向と、面接の印象が合致しなければ採用担当者は不信に感じるものです。
企業からみれば選考の初期段階でそのような学生さんに合格を出す必要はありませんので、不採用にされてしまうでしょう。
(※企業によってはあえて面接に呼び、そのズレを追求するケースもあります)
仮に面接を通過し、内定を獲得した場合でも入社までの間に代行業者の利用がバレたら、その時点で内定取り消しになります。
入社後に発覚した場合は、解雇になる可能性もゼロではありません。
そのようなリスク負ってまで代行業者を利用するよりも、ご自身で少しずつ対策をした方が良いでしょう。
対策方法
学生さんがもっとも気になるのは「自分の志望企業で出題される筆記試験の内容」だと思われます。
ですが、企業は会社説明会などで『SPIをやります』などと、選考で実施する筆記試験の種類を明かしません。
だからこそ、学生さんは「何を勉強すべきか...」と悩むところだと思います。
以下、勉強法をまとめていきますので参考にしてみてください。
1.勉強の進め方
セミナーに来ていただいた学生さんにはお伝えしているのですが、ほぼすべての企業で実施されているのが「SPI」です。
しかし、冒頭にも書きましたが、近年では採用活動を効率よく進めるために選考で複数の筆記試験を実施する企業がみられます。
(例:1次試験→SPI、2次試験→GAB)
結論から言うと、最大の対策はすべての試験問題を慣れるまで解くことです。
とは言っても、選考準備の都合上、それが難しいケースもあるかと思います。
このためセミナーの際、学生さんには「SPI+もう1テスト分を勉強すると良い」とお話しています。
SPIの他に勉強する内容は、志望業界や各業界の実施実績をもとに決めてください。
【勉強する内容の決め方(例)】
- SPI(必須)
- 大手メーカー志望(GAB or TG-WEB)
- 外資系企業志望(ENG or IMAGES)
SPIを軸にできるだけ多くのテスト問題に慣れておいたほうが、本番で対処しやすくなります。
インターネットにも各テストの出題例がまとめられていますので、上記以外の(自分で勉強しない)テストについては、それらに挑戦してみると良いでしょう(※後述あり)。
2.勉強法
ひっかけ問題でよく使われる言い回しや難しい単語は、テストごとにある程度決まっています。
はじめのうちは難しいかもしれませんが、勉強を継続する中で、それらに慣れれば高得点の獲得も可能です。
具体的な勉強法については、以下にまとめていますのでご一読ください。
3.模試を受ける
勉強を進めても点数がついてこなければ「できている」とは思わないものです。
自身の理解度を図るために、1回以上模試を受けると良いでしょう。
「テスト名 模試」で検索すると、各テストの問題集を閲覧できます。
各サイトの注意事項をよく読んだ上で、問題を解いてみましょう。
上述の通り「正答率9割」を目安に、模試に臨んでみてください。
まとめ
ひとくちに「大学」「専門学校」といってもそれぞれ専門分野が異なります。
専門領域の理解度を図るために、企業は、学生さん1人ひとりの専攻内容に合った問題を作るべきですが、採用活動に割ける日程が限られており、それは困難です。
このような理由から、企業の多くは選考で「高卒程度の試験」を実施します。
いずれのテストも学生さんの理解力を図るために、普段なじみのない言い回しや単語を多用し、問題を構成しています。
だからこそ、高得点をとるためにはそれらへの「慣れ」が不可欠です。
スキマ時間で無料の模試などを活用しながら対策を進めていきましょう。
対策を進めていて「おすすめの参考書を知りたい」など気になることがありましたら、アドバイザー紹介ページよりいつでもご相談いただければと思います。
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